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   おくちは災いのモト

Out of the mouth comes evil.

もんじゅの表の顔

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「ええのは名前だけやん・・・」

先週、事故後の処理で話題になっていた「もんじゅ」。→コチラ
今日はそのもんじゅを含む「核燃料サイクル」について、
簡単に書きたいと思います。(ちょっと長いけどついてきて!)

もんじゅは、福島のような一般の原発「軽水炉」とは違う、
「高速増殖炉」というものに属し、非常に特別な使命をもつ。
そしてその使命には表と裏の2つの顔がある。

1つめは「核燃料サイクル」という表の顔。
その仕事は、軽水炉でできた「使用済み核燃料」から取り出した
プルトニウムを燃料にして電力をつくり、なおかつ燃やした以上の燃料をつくる。
資源の少ない日本にとっては「夢の原子炉」というわけだ。

2つめは「核兵器の材料製造機」という裏の顔。
もんじゅでつくられた燃料には、核兵器がつくれるほどの
「高純度のプルトニウム」が含まれる。
長崎に落とされた「原爆」はこのプルトニウムを使ったものだ。(コチラをご参照ください)

次はそれぞれを詳しくみてみよう。
1つめの使命である表の顔「核燃料サイクル」の構想図。
なぜ構想か?というとまだ完成していないから。

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*黄色  :稼動中
 オレンジ:青森県むつ市に建設中。現在中断。
 ピンク :再処理→青森県六ヶ所村に建設中。トラブル続発で計画遅延。
             現在は英・仏に委託。
      MOX燃料加工→建設予定。現在は海外に委託。
                 (英・仏で再処理されたプルトニウムを使って加工)
    ⇒海外に委託     

   青 :もんじゅ→福井県敦賀市に建設中。トラブル続き。たぶん完成しない。
      燃料加工・再処理→まだ無い。

    ⇒つまり日本にあるのは黄色だけ

この図は大きくふたつのサイクルがあるように見えるが、
本来のもんじゅの使命である「核燃料サイクル」は右側の青いほう。
ご覧のように施設はまだ完成していない。
完成していないばかりか、1995年にナトリウム漏れ火災事故が発生し、
現在まで停止している。
というわけでその材料である「使用済み核燃料」はたまる一方。→コチラ
そして、先日落下物事故の後処理のため作業をおこない、
このまま上手くいけば今年度中に40%出力試験を行う考え。
だが、京都大学助教小出裕章先生の見解は、その開発の難しさのために
完成予想時期がどんどん先伸ばしになっている現状からみて、到底実現は
不可能だろうとのこと。

さて、このもんじゅ(=原型炉)には兄弟分がいる。
茨城出身の「常陽」(=実験炉)。
日本で最初の高速増殖炉であり、高速増殖炉の開発のために技術的経験を得る
ことを目的として建設されたが、2007年に事故をおこしてから運転休止中。
*原子炉を実用化するためには、
 実験炉→原型炉→実証炉という順に大きくしながら開発をすすめる。

次はこの「高速増殖炉」は、いったいどれぐらい危険か?
それは以下の理由を見ればわかるように、一般の軽水炉以上にとても危険。
大きな事故がおこれば、フクシマの比ではない。
その危険な特徴は・・・
1.核暴走(核爆発)しやすい。
2.冷却材にナトリウムを使う。
  普通の原発は、炉を冷やし、熱を取り出すのに水を使うが、高速増殖炉はナトリウム
  という金属を98度以上に熱して液体にして使う。(水銀のような感じ)
  このために様々な危険が生じる。
3.猛毒のプルトニウムを燃料にし、それを増やす。
4.構造に無理があり、特に地震に非常に弱い。
→詳しくはコチラ

最後はお金のはなし。(2009年までで)
今までもんじゅにかかった費用→9032億円(1日5500万円!
今まで常陽にかかった費用  →1728億円
関連研究開発費         →6161億円
燃料製造施設          →1699億円  計18620億円(=約2兆円!

これらのお金は全てわたし達の税金や電気代として支払われるもので、
軽水炉も含めて原発で生まれる電力は、ぜーんぜん安くないのだ。

簡単にまとめると、「高速増殖炉」は
1.いくら開発に時間とお金を使ってもできる可能性がない。
2.危険すぎる。
3.維持・管理費に莫大なお金がかかる。

以上のような理由から各国はどこも手を引いているのに、日本だけ
夢をみているのか、他に理由があるのか(→可能性大)未だに諦めないでいる。 

長くなったが、大事なことなので最後に・・・。
左側のサークルについて。
これは「プルサーマル」といって、本来ならもんじゅに投入するはずの
英・仏で再処理された燃料(プルトニウム)を使って発電させるというもの。
もんじゅが完成しないため、再処理された余剰のプルトニウムを減らす、
苦肉の策
がプルサーマルというわけだ。
しかしそのプルトニウムは、プルサーマル専用の原子炉で燃やすのではなく、
一般の軽水炉で燃やすため、危険な原子炉がより危険になる。
灯油のストーブでガソリンを燃やそうとするのと同じなのだ。
*現在プルサーマルを実施している原発は、
 福島第一3号機の他、玄海(佐賀)、伊方(愛媛)、高浜(福井)。

参考)ストップ・ザ・もんじゅ
  「隠される原子力 核の真実」小出裕章 著


核燃料サイクルの中で重要な役割(再処理)を果たす、青森県六ヶ所村の現実



関西のみなさま!
フクシマから離れているので、油断してはいませんか?
福井県にはもんじゅ以外にも、運転開始から30年以上経った
(40年以上経ったものもあり)ヨボヨボで危険な原子炉がわんさかあります。
見てビックリ!→コチラ
(ちなみに他国の原発の耐用年数は、大体22年です。)
大きな災害がなくても、原子炉の老朽化はそれだけで十分危険です。
福井に何かあったら、関西の水がめ琵琶湖も間違いなく汚染されます。
若狭では過去に大きな地震や津波もありました。
こんな状況でも原発をすすめていく国や電力会社、株主の頭は・・・・
間違いなく虫わいてる・・・。

やっぱり黙ってたらアカン!

さてさて次回は「もんじゅの裏の顔」について書こうと思います。



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避難・疎開の促進と法定1ミリシーベルトの順守を!!

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呼びかけ人は音楽家坂本龍一氏、作家大江健三郎氏など


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  1. 2011/06/30(木) |
  2. 原発
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